店舗閉店でやってはいけないこと7選|先に設備を捨てる・解体するのは危険?
飲食店やカフェ、居酒屋、美容室などの店舗を閉店すると決めると、 「早く片付けないと」 「厨房機器を売らないと」 「解体業者へ連絡しないと」 と動き始める方も多いと思います。
しかし、店舗閉店では 順番を間違えることで、本来残せたはずのお金を失ってしまうことがあります。
特に注意したいのが、 厨房設備を先に処分したり、 原状回復工事を先に始めたりすることです。
現在の内装・厨房設備・造作をそのまま次の借主へ引き継ぐ 「居抜き売却」ができる店舗であれば、 造作譲渡金を受け取れるだけでなく、 原状回復費や撤去費を抑えられる可能性があります。
今回は、名古屋・愛知で店舗売却・居抜き売却・造作譲渡を扱う 株式会社サンコー不動産が、 店舗閉店でやってはいけないこと7選 を実務目線で解説します。
店舗閉店でやってはいけないこと7選
| やってはいけないこと | なぜ注意が必要? |
|---|---|
| ① 厨房設備を先に捨てる・売る | 居抜き店舗としての価値が下がる可能性があります。 |
| ② 原状回復・解体を先に始める | 居抜きで次の借主へ引き継ぐ選択肢がなくなります。 |
| ③ 契約内容を確認せず解約通知を出す | 買主募集に使える期間が短くなることがあります。 |
| ④ 大家さんに無断で次の借主を決める | 賃貸借契約には貸主の承諾・審査が必要です。 |
| ⑤ リース品まで造作として売る | 第三者所有物は勝手に売却できません。 |
| ⑥ 造作価格を高く設定しすぎる | 買主が決まらないまま退去期限を迎えることがあります。 |
| ⑦ 買主が見つかっただけで安心する | 審査・契約・決済・引渡しまで完了して初めて成立します。 |
1.厨房設備を先に捨てる・売ってしまう
閉店が決まったとき、 最初に厨房機器の買取業者へ連絡する方もいます。
例えば、
- 業務用冷蔵庫
- 冷凍庫
- 製氷機
- 食器洗浄機
- フライヤー
- ガスレンジ
- オーブン
- 作業台・シンク
などです。
確かに厨房機器だけを中古品として売却する方法もあります。
しかし、居抜き売却を考えるのであれば、 設備を先に処分することで店舗全体の価値が下がる可能性 があります。
次の借主からすると、 「厨房設備が一式揃っているから、この店舗を借りたい」 というケースがあるためです。
一方で、設備を残したことで
造作譲渡金 150万円
+原状回復費削減 200万円
という可能性もあります。
もちろん店舗によって条件は異なりますが、 設備単体の買取金額だけで判断しないことが重要です。
2.原状回復・解体工事を先に始める
店舗閉店で特に避けたいのが、 居抜き売却の可能性を確認する前に 原状回復工事や解体工事を始めてしまうことです。
例えば、
- カウンターを解体する
- 厨房設備を撤去する
- ダクトを撤去する
- 間仕切りを壊す
- 給排水設備を撤去する
- 内装をスケルトンにする
といった工事を進めると、 それまで店舗にあった 「次の借主がそのまま使える価値」 が失われます。
一度解体してしまった設備や内装を、 後から元に戻すことは簡単ではありません。
まず契約条件・貸主意向・居抜き売却の可能性を確認してから工事を検討しましょう。
3.契約内容を確認せず、すぐに解約通知を出す
「閉店することを決めたので、まず大家さんへ解約通知を出そう」
この流れ自体が必ず間違いというわけではありません。
ただし、 居抜き売却を検討するのであれば、解約通知前に一度契約内容を確認することをおすすめします。
店舗の賃貸借契約では、
- 3ヶ月前予告
- 6ヶ月前予告
などの解約予告期間が設定されていることがあります。
解約通知を出すと、 契約終了日までの残り時間が決まります。
その期間内に、
- 貸主への居抜き承諾確認
- 買主募集
- 内覧
- 条件交渉
- 入居申込み
- 保証会社審査
- 貸主審査
- 賃貸借契約
- 造作譲渡契約
まで進める必要があります。
退去まで6ヶ月ある場合と、 あと1ヶ月しかない場合では、 売却できる可能性や価格交渉の余裕も変わります。
4.大家さんに無断で次の借主を決める
現在の借主と次の借主候補の間で、
「その金額で買います」
と話がまとまったとしても、 それだけで店舗を引き継げるわけではありません。
店舗は賃貸物件ですので、 新しい借主について 貸主・管理会社の承諾や入居審査が必要になります。
希望業種や営業時間によっては、 貸主から承諾を得られないケースもあります。
また、現在の賃貸借契約で 賃借権の譲渡・転貸・造作譲渡等について 貸主承諾が必要とされていることもあります。
貸主・管理会社を含めて進めることが重要です。
5.リース品・レンタル品まで造作として売る
店舗内にある設備が、 すべて現在の借主の所有物とは限りません。
例えば、
- 食器洗浄機
- 製氷機
- POSレジ
- カラオケ機器
- コーヒーマシン
- 決済端末
- ウォーターサーバー
などは、 リース・レンタル・メーカー貸与品の場合があります。
第三者所有の設備を 「店舗にあるから」という理由だけで 造作譲渡代金に含めることは避けなければなりません。
閉店前には、
| 設備区分 | 対応 |
|---|---|
| 自己所有 | 造作譲渡対象として検討 |
| リース品 | リース会社へ返却・承継等を確認 |
| レンタル・貸与品 | 所有会社へ確認 |
| 貸主所有設備 | 原則、造作売買の対象外 |
というように整理しておくと安心です。
6.造作価格を高く設定しすぎる
店舗へ大きな費用をかけた方ほど、
「内装に1,000万円かけたから、造作500万円くらいで売りたい」
と考えることがあります。
しかし、居抜き店舗の価値は 開業時にいくらかけたかだけでは決まりません。
買主が見るのは、
- 設備の年式・状態
- 内装の使いやすさ
- 店舗の立地
- 賃料
- 初期費用
- 出店可能業種
- そのまま営業できるか
などです。
高い造作価格にこだわりすぎて、 買主が見つからないまま退去期限を迎えると、 最終的に造作代金を受け取れないだけでなく、 原状回復費まで負担することがあります。
造作300万円を希望
↓
長期間決まらない
↓
最終的に原状回復200万円
= ▲200万円
B案
造作200万円で早期成約
+原状回復200万円を回避
= 実質400万円分のメリット
このように、 「いくらで売れたか」ではなく 閉店後にいくら手元に残るか で判断することが大切です。
7.買主が見つかっただけで「売却完了」と思う
買主から 「この店舗を買いたい」 と言われても、まだ売却完了ではありません。
その後には一般的に、
- 造作譲渡条件の整理
- 店舗への入居申込み
- 保証会社審査
- 貸主審査
- 賃貸条件の確定
- 造作譲渡契約
- 賃貸借契約
- 造作代金の決済
- 店舗・設備・鍵の引渡し
という手続きがあります。
買主の審査が通らなければ、 その買主へ店舗を引き継げない場合があります。
また、 設備内容や残置物、 引渡日、代金支払日などを曖昧にしたまま進めると、 契約直前・引渡し時にトラブルになることがあります。
店舗閉店で最初にやるべきことは?
では、閉店を考えたら何から始めればいいのでしょうか。
おすすめは、 いきなり設備処分や解体を始めるのではなく、 まず次の順番で整理することです。
- 賃貸借契約書を確認する
- 解約予告期間を確認する
- 原状回復・スケルトン返しの条件を確認する
- 保証金・償却条件を確認する
- 厨房設備・造作の所有関係を整理する
- 店舗が居抜きで売れる可能性を確認する
- 貸主への相談方法を整理する
- 通常退去と居抜き売却の収支を比較する
「造作売却額」だけでなく撤退費用全体で考える
店舗閉店では、 造作がいくらで売れるかだけを見るのではなく、 全体の収支を考える必要があります。
例えば、
保証金返還 +100万円
原状回復費 ▲200万円
残り賃料 ▲60万円
その他費用 ▲20万円
というように、 閉店に関係する費用をまとめて考えます。
居抜き売却によって原状回復が不要になれば、 造作譲渡金以上に大きなメリットになることもあります。
逆に造作価格を高く設定しすぎて次の借主が決まらなければ、 原状回復費・設備撤去費・残り賃料がそのまま発生する可能性があります。
スケルトン工事をする前に必ず確認したい
店舗閉店で大切なのは、 「壊してから考えない」こと です。
スケルトン工事を始めてしまうと、
- 内装
- 厨房区画
- カウンター
- 設備
- ダクト
- 給排水
など、次の借主が活用できた可能性のあるものが失われます。
もちろん契約上スケルトン返しが必要で、 最終的に工事をしなければならない店舗もあります。
それでも、 貸主が次の借主への居抜き承継を承諾すれば、 原状回復の方法を調整できる場合があります。
工事を発注する前に確認しておくことが重要です。
まとめ|閉店は「順番」を間違えないことが大切
店舗閉店でやってはいけないこと7つをまとめると、
- 厨房設備を先に捨てる・売る
- 原状回復・解体を先に始める
- 契約確認前に解約通知を出す
- 貸主に無断で次の借主を決める
- リース品まで造作として売る
- 造作価格を高く設定しすぎる
- 買主が見つかっただけで安心する
です。
特に飲食店は、 内装・厨房設備・ダクト・給排水などに大きな費用がかかっています。
それらは閉店時には 「撤去しなければならないもの」 になる一方で、 次の借主にとっては 「初期費用を抑えられる価値のある設備」 になる可能性があります。
店舗を壊す前に、居抜きで売れるか確認しませんか?
株式会社サンコー不動産では、 名古屋市・愛知県を中心に、 店舗売却・居抜き売却・造作譲渡のご相談を承っています。
「閉店することは決めたけど何から始めればいい?」
「原状回復費が高そう」
「厨房設備を処分する前に査定してほしい」
「まだ大家さんには話していない」
「この店が居抜きで売れるかだけ知りたい」
という段階でもご相談いただけます。
賃貸借契約、原状回復条件、厨房設備、造作、 退去予定時期などを確認しながら、 通常退去と居抜き売却を比較して、 閉店時の負担を抑えられる方法を整理します。
店舗売却・居抜き売却を無料で相談するよくある質問
Q.閉店が決まったら、最初に厨房設備を売っても大丈夫ですか?
居抜き売却を検討する場合は、先に処分しない方がよいケースがあります。厨房設備が揃っていることが次の借主にとって価値になる可能性があるためです。
Q.原状回復工事を先に始めても問題ありませんか?
居抜きで引き継げる可能性を確認してから判断することをおすすめします。内装や設備を撤去すると、造作として売却できる価値が失われる可能性があります。
Q.解約通知を出してからでも居抜き売却できますか?
可能な場合はあります。ただし、契約終了日までに買主募集・審査・契約・引渡しまで進める必要があるため、残り期間が短いほど条件は厳しくなります。
Q.自分で次の借主を見つければ、そのまま店舗を渡せますか?
通常は貸主・管理会社の承諾や入居審査が必要です。現在の借主と買主だけで賃貸借関係を決めることはできないため、貸主側との調整が重要です。
Q.造作を高く売った方が得ではないですか?
必ずしもそうとは限りません。高値にこだわって買主が決まらず、最終的に原状回復費や撤去費が発生すれば、手残りが少なくなる場合があります。造作代金だけでなく撤退費用全体で比較することが重要です。
Q.まだ閉店を正式に決めていなくても相談できますか?
閉店・移転・撤退を検討している段階で相談する方が、解約通知や設備処分前に選択肢を比較しやすくなります。
※本記事は店舗閉店、居抜き売却、造作譲渡、原状回復等に関する一般的な考え方を解説したものです。解約予告期間、原状回復義務、造作物、リース設備、貸主承諾等の取扱いは個別の賃貸借契約や取引条件によって異なります。実際の閉店・退去にあたっては、賃貸借契約書等を確認し、貸主・管理会社等と調整のうえ進めてください。