飲食店の原状回復はどこまで必要?スケルトン返しとの違いを解説|名古屋
飲食店を閉店するとき、 大きな負担になりやすいのが 「原状回復工事」です。
「厨房設備は全部撤去するの?」
「カウンターやトイレも壊す必要がある?」
「スケルトン返しと言われたら、どこまで解体すればいい?」
「居抜きで次の人へ引き継げれば工事しなくてもいい?」
こうしたご相談をいただくことがあります。
特に飲食店は、厨房設備・ダクト・給排水・ガス・電気・カウンターなど 多くの設備が設置されているため、 退去条件によっては原状回復費用が大きくなることがあります。
今回は、名古屋・愛知で店舗売却・居抜き売却・造作譲渡を扱う 株式会社サンコー不動産が、 飲食店の原状回復とスケルトン返しの違い、退去前に確認したいポイント を実務目線で解説します。
1.飲食店の原状回復とは?
店舗の原状回復とは、 賃貸借契約終了時に、 契約内容に従って店舗を返還できる状態にすることです。
ただし、 「借りたときの状態へ戻せばよい」だけで判断できるとは限りません。
事業用店舗の場合、 契約書や特約に、
- 造作・設備を撤去する
- 借主施工部分を撤去する
- 貸主指定の状態まで復旧する
- スケルトン状態にして返還する
など、具体的な退去条件が定められていることがあります。
2.「原状回復」と「スケルトン返し」は同じではない
店舗退去の話では、 「原状回復」と「スケルトン返し」が同じ意味のように使われることがあります。
しかし、実務上は分けて考えた方が分かりやすいです。
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 原状回復 | 賃貸借契約で定められた返還状態へ戻すこと。必要な工事範囲は契約内容によって異なります。 |
| スケルトン返し | 内装・造作・設備等を撤去し、建物の躯体等が見える状態に近づけて返還する方法。具体的な範囲は貸主・管理会社との確認が必要です。 |
つまり、 原状回復の方法として 「スケルトン状態まで戻すこと」が契約上求められているケースがある、 という考え方です。
貸主所有設備や残すべき配管・設備まで撤去してしまうと、逆に追加工事が必要になる可能性があります。
3.スケルトン返しでは何を撤去する?
物件や契約条件によりますが、 飲食店のスケルトン返しでは、例えば次のような部分が確認対象になります。
- 厨房機器
- カウンター
- テーブル・椅子
- 間仕切り壁
- 造作棚
- 床材
- 壁・クロス・化粧材
- 天井仕上げ
- 照明器具
- ダクト・排気設備
- 給排水設備
- ガス配管
- 借主が増設した電気設備
- 看板・サイン
ただし、 何を残し、何を撤去するかは物件ごとに異なります。
例えばエアコンでも、 借主が設置したものなのか、 最初から貸主設備として付いていたものなのかによって取扱いが変わる場合があります。
4.居抜きで借りた店舗でもスケルトン返しになる?
ここは特に注意したいポイントです。
「自分も居抜きで借りたから、そのまま返せばいい」 と思われる方もいます。
しかし、 居抜きで入居したことと、退去時の原状回復義務は別問題 です。
例えば前の借主が設置した内装・厨房設備をそのまま引き継いで入居していても、 賃貸借契約上、
という条件になっていれば、 現在の借主が撤去義務を負う形になっていることがあります。
つまり、 自分が設置していない造作まで撤去対象になる可能性があります。
5.なぜ飲食店の原状回復費は高くなりやすい?
飲食店は一般的な事務所と比べて設備が多いため、 撤去工事の範囲が広くなりやすい傾向があります。
特に費用がかかりやすいのが、
- 大型厨房設備の搬出
- 厨房区画の解体
- 大型ダクトの撤去
- グリストラップ周辺の処理
- 給排水設備の処理
- ガス設備の撤去・閉栓
- 電気設備の撤去
- 床・天井・壁の解体
- 産業廃棄物の処分
などです。
建物の構造、店舗面積、厨房設備、搬出経路などによっては、 原状回復費がまとまった金額になる場合があります。
6.原状回復は「どこまでやればいいか」を先に確認する
閉店が決まると、 すぐに解体業者へ見積りを依頼する方もいます。
しかし、その前に確認したいのが 原状回復範囲 です。
おすすめの流れは、
- 賃貸借契約書・特約を確認する
- 入居時の状態を確認する
- 貸主・管理会社へ返還条件を確認する
- 必要に応じて現地で撤去範囲を確認する
- その内容をもとに原状回復見積りを取る
という順番です。
範囲が決まっていない状態で見積りを依頼すると、 業者ごとに工事内容が違い、 金額を比較しにくくなることがあります。
7.貸主所有設備まで撤去しないように注意
店舗内には、 現在の借主が所有している設備だけでなく、 貸主所有の設備がある場合があります。
例えば、
- エアコン
- 給湯器
- トイレ
- 電気設備
- シャッター
- 給排水設備
などです。
一見すると店舗設備に見えても、 貸主所有であれば勝手に撤去できない場合があります。
反対に、 前テナントの残置物として引き継いだ設備について、 現在の借主が撤去義務まで承継しているケースもあります。
設備の 「誰の所有物か」と「誰が撤去する義務を負っているか」 を分けて確認しましょう。
8.原状回復工事を始める前に居抜き売却を検討する
原状回復費を抑える方法の一つが、 居抜き売却・造作譲渡 です。
現在の店舗を次の借主がそのまま使用したい場合、 貸主の承諾を得ることで、 造作や厨房設備を残したまま次の借主へ引き継げる可能性があります。
例えば、
厨房設備撤去費 50万円
造作譲渡金 150万円
と仮定します。
通常退去なら300万円程度の撤去・原状回復負担が発生するところ、 居抜きで承継できればその支出を抑えながら、 さらに造作譲渡金を受け取れる可能性があります。
もちろん、実際に原状回復義務を免除・変更できるかは 貸主の承諾や契約条件によります。
原状回復費・設備撤去費・廃棄費を抑えられる可能性も大きなポイントです。
9.次の借主が見つかっても原状回復義務は自動でなくならない
ここも重要です。
売主と買主の間で、 「このまま店舗を引き継ぎましょう」 と合意しただけでは、 現在の賃貸借契約上の原状回復義務が自動的になくなるわけではありません。
居抜きで引き継ぐには、 貸主・管理会社と調整し、
- 次の借主として入居を承認してもらう
- 新しい賃貸借条件を決める
- 現在の造作を残すことについて承諾を得る
- 原状回復義務の取扱いを明確にする
ことが重要です。
次の借主が見つかった場合でも、 貸主審査や保証会社審査が必要になるケースがあります。
10.解約通知を出す前に確認した方がいい理由
居抜き売却を考えるのであれば、 できれば解約通知前から検討することをおすすめします。
解約通知を出すと、 退去日までの残り期間が決まります。
その間に、
- 貸主への相談
- 買主募集
- 内覧
- 条件交渉
- 入居申込み
- 保証会社・貸主審査
- 賃貸借契約
- 造作譲渡契約
まで進める必要があります。
買主が見つからなければ、 最終的には契約どおり原状回復して返還する必要が出てくるため、 時間に余裕がある方が選択肢を持ちやすくなります。
11.厨房設備を先に処分しない
閉店時によくあるのが、 冷蔵庫・製氷機・フライヤーなどを先に中古厨房業者へ売却してしまうケースです。
しかし居抜き売却では、 厨房設備が揃っていること自体が 買主にとって大きなメリットになる場合があります。
例えば同じ飲食業態であれば、
- 冷凍冷蔵庫
- 製氷機
- 食洗機
- シンク
- 作業台
- フライヤー
- ガスレンジ
などをそのまま使えることで、 開業費用を抑えられる可能性があります。
原状回復や設備処分を始める前に、 まず店舗全体を居抜きで引き継げないか確認した方がよい場合があります。
12.原状回復費と造作譲渡金は一緒に考える
店舗売却では、 「造作がいくらで売れるか」だけに目が行きがちです。
しかし本当に重要なのは、 閉店後に最終的にいくら手元に残るか です。
| 通常退去 | 居抜き承継できた場合 |
|---|---|
|
原状回復費が発生 設備撤去費が発生 廃棄費用が発生 |
原状回復費を抑えられる可能性 設備撤去費を抑えられる可能性 造作譲渡金を得られる可能性 |
例えば造作が100万円でしか売れなかったとしても、 原状回復費250万円を回避できたのであれば、 売主にとって大きなメリットになる可能性があります。
13.原状回復見積りが高かったらどうする?
原状回復見積りが想定より高かった場合、 そのまま工事を発注する前に、 一度選択肢を整理してみましょう。
例えば、
- 工事範囲が契約上本当に必要か確認する
- 貸主・管理会社と撤去範囲を再確認する
- 相見積りを取る
- 居抜き承継を相談する
- 次の借主候補を募集する
という方法があります。
原状回復工事を完了してからでは、 それまで残っていた内装・設備を居抜きで売ることはできません。
14.閉店前に確認したい原状回復チェックリスト
- 賃貸借契約書を確認する
- 原状回復条項を確認する
- スケルトン返しの有無を確認する
- 入居時の状態を確認する
- 造作・設備の所有者を整理する
- 貸主・管理会社へ返還条件を確認する
- 原状回復見積りを取る
- 居抜きで引き継げる可能性を確認する
- 次の借主募集に使える期間を確認する
- 通常退去と居抜き売却の収支を比較する
15.まとめ|原状回復工事をする前に一度立ち止まる
飲食店の原状回復で最も重要なのは、 「契約上どこまで戻す必要があるのか」を確認すること です。
原状回復とスケルトン返しは必ずしも同じではなく、 店舗ごとに契約条件や返還状態が異なります。
また、現在の内装や厨房設備に価値がある場合には、 原状回復工事をする前に 居抜き売却・造作譲渡を検討できる可能性があります。
閉店時には、
- 原状回復費
- 設備撤去費
- 廃棄処分費
- 解約予告期間中の家賃
- 保証金の返還
- 造作譲渡金
まで含めて、 最終的な手残りで比較することが大切です。
原状回復工事を始める前に、居抜きで売れるか確認しませんか?
株式会社サンコー不動産では、 名古屋市・愛知県を中心に、 店舗売却・居抜き売却・造作譲渡のご相談を承っています。
「スケルトン返しと言われている」
「原状回復見積りが高い」
「厨房設備を残して退去できない?」
「大家さんへどう相談すればいい?」
「まだ閉店を正式に決めていない」
という段階でもご相談いただけます。
賃貸借契約、店舗設備、原状回復条件、退去予定時期等を確認しながら、 居抜き売却できる可能性や、 閉店時の負担を抑えられる方法を整理いたします。
店舗売却・居抜き売却を無料で相談するよくある質問
Q.原状回復とスケルトン返しは同じですか?
必ずしも同じではありません。原状回復は契約で定められた状態へ戻すことを指し、その方法としてスケルトン状態まで撤去することが求められる契約があります。具体的な範囲は契約書や貸主・管理会社への確認が必要です。
Q.居抜きで借りた店舗でもスケルトン返しが必要ですか?
必要になる場合があります。居抜きで入居したことだけでは判断できません。前借主の造作を引き継いだ場合でも、現在の賃貸借契約でスケルトン返しや原状回復義務を負っていることがあります。
Q.次の借主が見つかれば原状回復しなくてもいいですか?
自動的に原状回復義務がなくなるわけではありません。次の借主への居抜き承継について貸主の承諾を得て、現在の原状回復義務や残置する造作・設備の取扱いを明確にする必要があります。
Q.原状回復工事を先に始めても大丈夫ですか?
居抜き売却を検討するのであれば、先に工事を始めない方がよい場合があります。内装や厨房設備を撤去すると、造作として次の借主へ譲渡できる価値が失われる可能性があるためです。
Q.原状回復費が高い場合は相談できますか?
契約内容や店舗の状態を確認したうえで、居抜き承継の可能性や次の借主募集などを検討できます。工事発注前の段階で相談した方が選択肢を残しやすくなります。
※本記事は、飲食店・店舗の原状回復、スケルトン返し、居抜き売却に関する一般的な考え方を解説したものです。実際の原状回復範囲、撤去義務、設備の所有関係等は個別の賃貸借契約、特約、入居時の状況、貸主との合意等によって異なります。工事着手前に契約書を確認し、貸主・管理会社等と返還条件を確認してください。