名古屋市内で店舗売却や居抜き売却の相談を受けていると、 「駅から少し離れたカフェでも居抜きで売却できますか」 「1階と2階に分かれている店舗は、次の借主に使いにくいと思われませんか」 「造作譲渡金を設定しても買主は見つかりますか」 というご相談をいただくことがあります。
カフェは、飲食店の中では比較的きれいな内装が残りやすく、 写真でも店舗の雰囲気を伝えやすい業態です。
一方で、内装がおしゃれだからすぐに売れるとは限りません。 次の借主は、見た目だけでなく、賃料、立地、厨房設備、客席数、 営業動線、追加工事費などを現実的に確認しています。
今回は、名古屋市中川区の高畑エリアにある、 1階と2階を合わせて約21坪のカフェ居抜き店舗について、 どのような点が評価され、成約につながったのかをご紹介します。
実際の店舗売却、居抜き売却の成約事例をもとに、 店舗名、建物名、詳細な所在地、前テナント名など、 個別の店舗が特定される情報は一部伏せて再構成しています。
中川区高畑エリアのカフェ居抜き成約事例
今回の物件は、名古屋市中川区野田周辺にあるカフェ居抜き店舗です。 地下鉄東山線の高畑駅から徒歩約13分のロードサイドに位置していました。
店舗は1階と2階で構成され、合計面積は69.63平方メートル、 坪数にすると約21.06坪です。
1階にはカウンターと客席があり、 2階にはストック、事務、休憩室などに利用できる空間が残されていました。
| エリア | 名古屋市中川区高畑、野田周辺 |
|---|---|
| 物件種目 | 貸店舗、カフェ居抜き |
| 最寄駅 | 地下鉄東山線 高畑駅 徒歩約13分 |
| 所在階 | 1階、2階 |
| 契約面積 | 69.63平方メートル、約21.06坪 |
| 従前業態 | カフェ |
| 賃料 | 月額11万円 税別 |
| 共益費 | 月額2,000円 税別 |
| 保証金 | 賃料3か月分 |
| 造作譲渡 | 180万円希望 |
| 契約形態 | 普通賃貸借 |
今回の店舗売却が成約につながった理由
1.賃料と店舗規模のバランスが良かった
今回の店舗は、1階と2階を合わせて約21坪、 賃料は月額11万円税別でした。
飲食店を開業する方にとって、毎月の賃料は、 売上が安定する前から支払い続けなければならない固定費です。
駅前の一等地では、同程度の面積でも賃料が高くなる場合があります。 今回は駅徒歩13分という条件である一方、 約21坪の店舗を比較的抑えた賃料で利用できる点が評価されました。
個人経営のカフェや軽飲食店では、 広すぎる店舗よりも、客席、厨房、バックヤードを確保しながら、 固定費を抑えられる規模が検討されやすくなります。
2.カフェとしての雰囲気をそのまま活用できた
店内には、カウンター、客席、照明、壁面の仕上げなど、 カフェとして使用していた雰囲気が残っていました。
スケルトン状態から店舗を作る場合、 床、壁、天井、カウンター、照明、電気設備、給排水設備など、 多くの内装工事が必要になります。
今回は、既存内装を活用しながら、 看板、家具、厨房設備などを一部変更することで、 開業準備を進められる可能性がありました。
買主にとっては、造作譲渡金だけを見るのではなく、 既存内装を利用することで、どれくらい工事費と開業期間を抑えられるかが重要です。
3.1階と2階の役割を分かりやすく伝えた
1階と2階に分かれている店舗では、 借り手から「2階を使い切れるだろうか」と心配されることがあります。
今回は、1階を接客、販売、客席として利用し、 2階をストック、事務、スタッフ休憩、仕込み補助などに使えることを 分かりやすく伝えました。
1階だけにすべての機能を詰め込む必要がないため、 客席や販売スペースを比較的広く確保できます。
2階を客席として積極的に使うのではなく、 バックヤードとして考えられることが、 次の借主にとって現実的な利用イメージにつながりました。
4.ロードサイド店舗としての見せ方を整理した
今回の物件は、高畑駅から徒歩約13分であり、 駅前の通行人を中心に集客する立地ではありません。
そのため、駅からの距離を弱点として隠すのではなく、 地域住民、自転車や車で移動する方、 近隣で働く方を対象とした地域密着型店舗として見せることが大切でした。
ロードサイド店舗は、店舗の存在を覚えてもらいやすく、 テイクアウト、日常使いのカフェ、軽飲食、焼菓子販売などと相性があります。
駅前型店舗とは異なる客層と営業方法を想定し、 次の借主が出店後をイメージできるように募集しました。
買主が内覧時に確認していたポイント
カフェ居抜き店舗では、内装の雰囲気が最初に目に入ります。 しかし、実際の購入判断では、次のような部分が重視されます。
カフェ居抜きで確認されやすい項目
- カウンターや客席をそのまま活用できるか
- 厨房設備や給排水設備の状態
- 電気容量、ガス容量、換気設備が希望業態に合うか
- 1階と2階の動線が使いやすいか
- 看板を設置できる位置や大きさ
- 追加工事がどの程度必要になるか
- 貸主が希望業態を承諾するか
- 造作譲渡の対象と設備の不具合
写真がきれいであっても、 厨房設備が次の業態に使えない場合や、 排気、給排水、電気容量などに追加工事が必要な場合は、 買主の負担が増えます。
内覧時には、良い部分だけでなく、 現在分かっている設備状態や追加工事の可能性も伝えることが、 後のトラブルを防ぎ、成約につながります。
造作譲渡180万円をどのように考えるか
今回の造作譲渡金は180万円希望でした。
造作譲渡金は、売主が過去に内装や設備へかけた金額だけで決まるものではありません。 次の借主が現在の内装や設備をどの程度利用できるかによって評価が変わります。
買主は、造作譲渡金のほかにも、 保証金、前家賃、仲介手数料、保証会社費用、 看板工事、追加内装工事、仕入れ、広告費などを負担します。
そのため、造作譲渡金を高く設定しすぎると、 店舗自体に魅力があっても、開業資金全体が合わずに検討から外れることがあります。
今回は、カフェ内装、カウンター、客席などを活用できる可能性と、 賃料11万円という固定費のバランスを含めて検討されました。
造作譲渡で明確にしておくべき内容
- 譲渡する設備、家具、什器、備品
- 売主が撤去する物品
- リース品、レンタル品、貸与品の有無
- 設備の故障、不具合、使用年数
- 引渡しまでに使用を続ける設備
- 現況渡しとする範囲
- 造作代金の支払時期
- 賃貸借契約が成立しなかった場合の取扱い
居抜き売却では、何となく「店内一式」とするのではなく、 譲渡対象を一覧にして買主と確認することが重要です。
カフェ以外にも検討できる業態
居抜き店舗を募集する際は、 現在の業態だけに限定しすぎないことも大切です。
今回の店舗はカフェ居抜きでしたが、 既存のカウンターや客席を活用できる業態として、 次のような出店も考えられます。
- 喫茶店
- 焼菓子店
- スイーツ販売店
- テイクアウト専門店
- ドリンクスタンド
- 軽食を提供する小規模飲食店
- 物販を併設したカフェ
- 予約制の小規模店舗
ただし、実際に営業できるかどうかは、 貸主の承諾、建物設備、消防、保健所、排気設備などの確認が必要です。
募集時には可能性を広く持たせながらも、 どの業態でも無条件に出店可能と誤解されないように、 貸主審査や設備確認が必要であることを伝えます。
中川区高畑エリアの店舗事情
高畑周辺は、地下鉄東山線の始発駅があり、 名古屋駅方面へのアクセスに便利な住宅エリアです。
駅周辺には飲食店、生活利便施設、事務所などがありますが、 少し駅から離れると住宅地やロードサイド店舗が中心になります。
栄や名駅のような繁華街ではないため、 一時的な通行量だけで集客するのではなく、 地域のお客様に繰り返し利用してもらえる店舗づくりが重要です。
カフェ、喫茶店、テイクアウト、軽飲食などは、 日常的に利用される理由を作ることができれば、 駅から離れた場所でも営業を継続できる可能性があります。
居抜き売却では、 「駅徒歩13分」という情報だけで判断されないように、 周辺の住宅、道路からの見え方、近隣利用者、 自転車や車での来店なども含めて立地を説明することが大切です。
店舗売却で重要だった貸主・管理会社との調整
居抜き売却は、売主と買主の間で造作売買に合意すれば終わるものではありません。
新しい借主が貸主の審査を受け、 新たな賃貸借契約を締結できることが前提になります。
貸主や管理会社は、次の借主について、 業態、営業時間、におい、音、排気、資金計画、 運営経験、保証会社の審査結果などを確認します。
買主が見つかってから初めて貸主へ相談すると、 希望業態が認められず、話が進まない場合があります。
そのため、募集を開始する前に、 居抜きでの引継ぎが可能か、 どのような業態なら相談できるか、 原状回復義務をどのように扱うかを確認する必要があります。
今回の成約までの流れ
-
賃貸借契約書と解約条件の確認
解約予告期間、原状回復義務、造作譲渡に関する条件を確認しました。 -
貸主、管理会社へ居抜き募集を相談
次の借主への引継ぎが可能か、相談できる業態を確認しました。 -
造作譲渡の対象と希望価格を整理
内装、カウンター、設備、家具など、譲渡対象を整理しました。 -
店舗の写真と募集資料を作成
1階と2階の使い方、約21坪の規模、賃料、既存造作を分かりやすく掲載しました。 -
買主募集と内覧対応
店内の雰囲気だけでなく、設備状態や追加工事の可能性も説明しました。 -
申込みと貸主審査
出店業態、運営内容、資金計画を確認し、貸主と保証会社の審査を進めました。 -
賃貸借契約と造作譲渡契約
賃貸条件、譲渡対象、代金、引渡し時期、設備の取扱いを明確にしました。 -
店舗の引渡し
売主、買主、貸主側で確認し、居抜き状態で店舗を引き継ぎました。
現場で見てきた本音|カフェ居抜きでも条件整理が必要です
売主が気に入っていた内装でも、 次の買主の業態には合わないことがあります。
反対に、売主が特に価値を感じていなかったカウンター、 ストック場所、給排水設備、看板位置などが、 買主にとって重要な魅力になることもあります。
店舗売却では、 「内装にいくらかけたか」だけを伝えるのではなく、 次の借主が、 「何をそのまま使えるか」 「どれくらい追加費用が必要か」 「この立地でどのように営業できるか」 を判断できるように整理することが大切です。
カフェを居抜きで売却したい方が早めに確認すること
募集前に確認しておきたい内容
- 賃貸借契約の解約予告期間
- 原状回復義務の範囲
- 貸主が居抜き譲渡を認めるか
- 次の借主に相談できる業態
- 造作譲渡の対象
- リース品や貸与品の有無
- 厨房、空調、給排水設備の不具合
- 営業を終了する予定時期
- 買主へ引き渡せる時期
- 売主が撤去する物品
解約通知を出してから買主を探し始めると、 原状回復期限までに契約が間に合わない可能性があります。
特に飲食店では、内覧、見積もり、保健所確認、 貸主審査、保証会社審査、契約準備などに時間がかかります。
閉店する可能性がある、 居抜きで売却できるなら検討したいという段階で相談することで、 募集期間を確保しやすくなります。
まとめ|高畑ロードサイドのカフェ居抜きは賃料と使い方の見せ方が成約のポイント
今回の中川区高畑エリアのカフェ居抜き店舗は、 1階と2階を合わせて約21坪、 賃料11万円税別という条件でした。
駅徒歩13分という立地ではありましたが、 地域密着型のカフェや軽飲食として考えやすい規模と賃料であり、 既存のカウンターや内装を活用できる点が評価されました。
また、1階を接客、販売、客席、 2階をストック、事務、休憩スペースとして使えることを伝え、 店舗全体の利用イメージを明確にしたことも成約につながりました。
店舗売却や居抜き売却では、 内装の見た目だけでなく、 賃料、設備、業態、貸主承諾、造作譲渡の内容を整理する必要があります。
カフェや飲食店の閉店を検討されている方は、 解約通知を提出する前に、 居抜きで売却できる可能性があるか確認することをおすすめします。
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