買主が見つかった後は何をする?居抜き売却の申込み・審査・契約・引渡しまでの流れ
居抜き売却で買主候補が見つかると、 「これで売却できた」と安心したくなるところです。
しかし実際には、 買主が見つかっただけでは居抜き売却は完了していません。
その後、店舗への入居申込み、保証会社・貸主審査、 賃貸条件の調整、造作譲渡契約、賃貸借契約、 代金決済、設備確認、店舗の引渡しまで進める必要があります。
今回は、名古屋・愛知で店舗売却・居抜き売却・造作譲渡を扱う 株式会社サンコー不動産が、 買主が見つかってから正式に店舗を引き渡すまでの流れ を実務目線で解説します。
1.買主が見つかっても、まだ居抜き売却は成立していない
居抜き売却では、造作や厨房設備を購入してもらうだけではなく、 その買主が店舗の 「次の借主」 として貸主から承認される必要があります。
一般的には、次の順番で進めます。
↓
造作価格・設備内容を確認
↓
店舗への入居申込み
↓
保証会社・貸主審査
↓
賃貸条件・引渡条件の確定
↓
賃貸借契約・造作譲渡契約
↓
代金決済・設備確認
↓
店舗・造作設備・鍵の引渡し
↓
居抜き売却完了
2.まず造作譲渡の条件を整理する
買主候補から購入希望が出たら、最初に造作譲渡条件を整理します。
- 造作譲渡金額
- 譲渡する内装・厨房設備・什器
- 設備の状態
- リース・レンタル品の有無
- 売主が持ち出すもの
- 残置物の扱い
- 売買代金の支払時期
- 引渡希望日
「造作一式300万円」のような曖昧な内容だけで進めると、 後から「冷蔵庫も含まれると思っていた」 「食洗機がリース品だった」 などの認識違いが起きることがあります。
買主が見つかった段階で、 造作設備一覧を作成し、譲渡対象を明確にする ことをおすすめします。
3.買主から店舗の入居申込みをしてもらう
造作条件についてある程度話がまとまったら、 次は貸主・管理会社への 入居申込み です。
現在の借主から造作を購入しても、 貸主との賃貸借契約が成立しなければ、 その店舗で営業することはできません。
申込み時には一般的に、
- 入居申込書
- 本人確認書類
- 法人の場合は会社概要・登記資料等
- 予定業態
- 営業時間
- 事業内容・事業計画
- 保証会社審査書類
などを提出します。
必要書類や審査内容は、貸主・管理会社・保証会社によって異なります。
4.「造作を買いたい」と「店舗を借りられる」は別
売主と買主が造作価格について合意していても、 買主が店舗の新しい借主として承認されるとは限りません。
例えば、
- 希望業種が貸主の条件に合わない
- 営業時間や深夜営業について条件が合わない
- 保証会社審査が通らない
- 貸主審査を通過できない
- 事業内容や資金計画に懸念がある
などによって、契約まで進められないことがあります。
5.保証会社・貸主の審査を行う
入居申込み後は、保証会社や貸主による審査に進みます。
事業用店舗では、 契約者の内容だけでなく、 どのようなお店を営業するのかも重要です。
- 飲食店の業態
- 法人・個人契約の別
- 既存事業の実績
- 新規開業か既存店の移転か
- 営業時間
- 資金計画
- 臭気・煙・騒音等の影響
特に飲食店の場合は、 重飲食、深夜営業、臭気、排煙等の理由から 出店できる業種が限定される物件もあります。
できれば募集を始める前に、 貸主へ「次にどの業種まで相談可能か」を確認しておくとスムーズです。
6.審査中に設備と残置物を整理する
審査結果を待っている間に、 売主側でも引渡し準備を進めます。
- 造作設備一覧を確定する
- 自己所有・リース・貸主所有を分ける
- 故障・動作未確認設備を整理する
- 持ち出す私物を決める
- 残置する物を決める
- 引渡日を調整する
- ライフラインの切替方法を確認する
特に注意したいのが、 店舗内の設備がすべて売主所有とは限らない という点です。
| 設備区分 | 取扱い |
|---|---|
| 売主所有 | 造作譲渡対象として検討 |
| リース品 | リース会社へ返却・承継等を確認 |
| レンタル・貸与品 | 所有会社へ確認 |
| 貸主所有設備 | 造作売買の対象外 |
7.審査承認後に賃貸条件を確定する
審査が通ったら、 貸主と新しい借主との賃貸条件を最終確認します。
- 賃料・共益費
- 保証金・敷金・礼金
- 契約期間
- 契約開始日
- フリーレント
- 解約予告
- 使用目的・営業時間
- 看板・内装工事
- 原状回復条件
注意したいのは、 現在の借主と同じ賃貸条件が、そのまま次の借主へ引き継がれるとは限らない ということです。
基本的には、貸主と新しい借主との間で新たな賃貸借契約を締結します。
8.賃貸借契約と造作譲渡契約を連動させる
居抜き売却では、
① 貸主と新しい借主との賃貸借契約
② 現在の借主と新しい借主との造作譲渡契約
の2つが関係します。
造作譲渡契約だけを先に成立させた後、 賃貸借審査が否決されると、 「店舗を借りられないのに設備だけ購入した」 という状態になる可能性があります。
そのため、取引によっては、
といった考え方で契約関係を整理します。
具体的な契約条項は、 それぞれの案件に合わせて設定することが重要です。
9.造作譲渡契約書で確認するポイント
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 売買代金 | 造作・設備をいくらで譲渡するか |
| 譲渡対象 | 売買対象となる設備・造作 |
| 支払時期 | 手付金・残代金等の支払日 |
| 引渡日 | 正式に設備を引き渡す日 |
| 所有権移転 | 代金支払・引渡しとの関係 |
| 設備状態 | 現況渡し、故障、動作未確認等 |
| 第三者所有物 | リース・レンタル品等の除外 |
| 残置物 | 不要品を誰が処分するか |
| 賃貸借との関係 | 賃貸借契約不成立時の取扱い |
厨房設備については、 契約前に主要設備の状態を確認し、 可能であれば写真や動画でも現況を残しておくと安心です。
10.造作譲渡代金はいつ受け取る?
造作譲渡代金の支払方法は案件によって異なります。
- 契約時に全額支払い
- 契約時に手付金、引渡時に残代金
- 引渡日までに全額支払い
などがあります。
重要なのは、
- 賃貸借契約がいつ成立するか
- 買主がいつ店舗へ入れるか
- 売主がいつ退去するか
- いつ設備を引き渡すか
- いつ所有権を移転するか
をセットで整理することです。
11.引渡し前に売主が準備すること
契約後は、店舗の引渡しに向けて準備します。
- 売主の私物を搬出する
- 売買対象外設備を撤去・返却する
- リース・レンタル品を整理する
- 食材・書類・個人情報を整理する
- 設備一覧を最終確認する
- 鍵を整理する
- 電気・ガス・水道等の切替を確認する
電気・ガス・水道については、 売主負担がいつまでで、 買主負担がいつからになるのかも明確にしておきます。
12.引渡日には設備・鍵・店舗を確認する
引渡日は単に鍵を渡すだけではなく、 売主・買主で店舗の現況を確認しておくことをおすすめします。
- 造作設備一覧との照合
- 主要設備の有無・状態
- 故障設備の確認
- 売主私物が残っていないか
- リース品等が整理されているか
- 鍵の本数
- 必要に応じて電気・水道等のメーター確認
必要に応じて 引渡確認書 を作成し、 双方で確認内容を残しておくと安心です。
13.買主が見つかった後によくある失敗
「買います」と言われただけで募集を終了する
口頭で購入希望が出ても、 入居申込みや審査が終わっていなければ契約確定ではありません。
審査前に造作代金を全額受け取る
賃貸借契約が成立しなかった場合の返金条件等を決めずに進めると、 トラブルになることがあります。
設備一覧を作らない
「これは譲渡対象だと思っていた」 という認識違いを防ぐため、一覧化しておきましょう。
リース品まで売却する
第三者所有の設備は、 原則として売主の判断だけでは売却できません。
引渡準備を後回しにする
私物、食材、リース品、書類、ライフライン等の整理には時間がかかります。 審査中から準備しておくとスムーズです。
14.居抜き売却は売主・買主・貸主の調整が重要
居抜き売却では、
- 現在の借主=造作の売主
- 次の借主=造作の買主
- 建物の貸主・管理会社
という複数の関係者がいます。
さらに保証会社やリース会社が関係する場合もあります。
そのため、 造作価格だけを決めるのではなく、 賃貸借・審査・契約・決済・引渡しのタイミングを合わせて進めること が重要です。
15.まとめ|買主が見つかってからが居抜き売却の仕上げ
居抜き売却では、 買主候補が見つかった後に次の工程があります。
- 造作価格・設備内容を整理
- 入居申込み
- 保証会社・貸主審査
- 賃貸条件の確定
- 造作設備一覧の確定
- 賃貸借契約・造作譲渡契約
- 造作譲渡代金の決済
- 残置物・ライフライン等の整理
- 店舗・設備・鍵の引渡し
特に重要なのは、 造作譲渡契約と賃貸借契約を別々に考えすぎないこと です。
買主が店舗を正式に借りられること、 予定どおり造作を引き継げること、 代金と引渡しのタイミングが一致していること。
この3点を整理して、 はじめて安全に居抜き売却を完了することができます。
買主が見つかった後の契約・引渡しまでサポートします
株式会社サンコー不動産では、 名古屋市・愛知県を中心に、 店舗売却・居抜き売却・造作譲渡のご相談を承っています。
「買いたい人は見つかったけど次に何をすればいい?」
「大家さんへの話はどう進めればいい?」
「入居審査は誰がする?」
「造作代金はいつ受け取る?」
「造作譲渡契約書や設備リストを作りたい」
という場合もご相談ください。
貸主との条件確認、入居申込み、造作譲渡条件の整理、 設備一覧、賃貸借契約・造作譲渡契約、 決済・引渡しまで実務ベースでサポートいたします。
店舗売却・居抜き売却を無料で相談するよくある質問
Q.買主が見つかれば居抜き売却は成立ですか?
まだ成立とは限りません。次の借主として貸主・保証会社等の審査を受け、賃貸借契約・造作譲渡契約・決済・引渡しまで完了する必要があります。
Q.買主の入居審査が通らなかった場合は?
通常、その買主は店舗を引き継げません。造作譲渡契約を先に締結する場合は、賃貸借契約が成立しなかった際の契約終了や返金条件を決めておくことが重要です。
Q.造作譲渡代金はいつ受け取りますか?
契約時に全額、契約時に手付金・引渡時に残金、引渡日までに全額などがあります。賃貸借契約成立日や引渡日、所有権移転時期と合わせて決めます。
Q.リース品もそのまま買主へ譲渡できますか?
第三者所有のリース品・レンタル品・貸与品は、原則として売主の判断だけでは譲渡できません。所有会社へ返却・承継等を確認する必要があります。
Q.引渡し時には何を確認しますか?
造作設備一覧、設備の現況、残置物、私物、鍵、ライフライン等を確認します。必要に応じて引渡確認書を作成します。
※本記事は、店舗の居抜き売却・造作譲渡・事業用賃貸借に関する一般的な流れを解説したものです。貸主承諾、入居審査、造作譲渡契約、設備保証、代金決済、原状回復等の取扱いは、個別の契約条件によって異なります。実際の取引では、貸主・管理会社・保証会社等へ確認のうえ、契約内容を書面で明確にすることが重要です。