名古屋・愛知の飲食店オーナー向け|閉店・借入金・店舗売却
飲食店の閉店で借金が残っていたら?居抜き売却と資金繰りの注意点
「店を閉めたいけれど、創業融資や設備資金の借金が残っている」「原状回復費用まで払えるか不安」。そんなときは、閉店費用だけでなく、閉店後に残る返済額と、店舗を引き渡すまでのお金の流れを確認することが大切です。
結論からいうと、飲食店を閉店しても、借入金が自動的になくなるわけではありません。一方、厨房機器や内装などを居抜きで売却できれば、撤退費用を抑えたり、返済原資を確保できたりする可能性があります。
ただし、造作譲渡代金の全額が自由に使えるとは限りません。未払賃料、リース契約、貸主との精算、税金、融資契約などを確認する必要があります。名古屋・愛知で店舗売却を扱うサンコー不動産が、閉店前に押さえたいポイントを解説します。
1.飲食店を閉店したら借金はどうなる?
原則として、店を閉めても借入契約に基づく返済義務は残ります。「営業をやめた」「廃業届を出した」というだけで、金融機関からの借入金が免除されるわけではありません。
飲食店の閉店時に確認したい主な債務には、次のようなものがあります。
- 日本政策金融公庫、銀行、信用金庫などからの創業融資・運転資金・設備資金
- 信用保証協会の保証付き融資
- 厨房機器・POSレジ・券売機・空調などのリース料や割賦代金
- クレジットカード・事業用ローンの残高
- 未払家賃、仕入代金、給与、税金、社会保険料など
まずは「どこに、いくら、いつまで支払う必要があるか」を一覧化しましょう。金融機関の借入残高と、店舗を閉めるための費用は、分けて計算することが重要です。
ポイント:「借金が残っている=閉店できない」という意味ではありません。ただし、返済の見通しが立たない場合は、自己判断で支払いを止めたり資産を処分したりせず、早めに金融機関・弁護士などへ相談しましょう。
2.個人事業主と法人では、借金の扱いが違う
個人事業主の場合
個人名義で借りた事業資金は、廃業後も原則として本人に返済義務が残ります。事業の預金と生活費を分け、閉店後の生活資金も含めて返済計画を検討する必要があります。
法人経営の場合
法人名義の借入金は、基本的には法人の債務です。ただし、代表者が連帯保証していると、会社が返済できなくなった場合に代表者へ保証債務の履行を求められることがあります。保証の有無や範囲は融資契約書で確認してください。
返済が難しいケースでは、法的整理や私的整理、「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証債務整理などが検討対象となります。これらは利用条件や関係者との合意が必要であり、閉店すれば自動的に適用される制度ではありません。
注意:会社の解散・清算、法人破産、代表者個人の債務整理は別々の論点です。経営者保証がある場合や支払不能が見込まれる場合は、店舗資産の売却前に法律の専門家へ確認してください。
3.借金だけではない!飲食店の閉店で発生する費用
借入残高だけを見て閉店を判断すると、退去までの支出を見落としがちです。特に店舗の賃貸借契約では、解約予告期間や原状回復義務が資金繰りを左右します。
契約書に定める予告期間中は、閉店して営業していなくても賃料等が発生する場合があります。
内装や厨房を撤去し、スケルトン状態で返還する義務があるかを確認します。
リース物件の返却や中途解約時の精算額、割賦残債などを契約ごとに確認します。
給与、退職関連費用、仕入代金、水道光熱費などの支払予定を整理します。
消費税や所得税・法人税等の申告、源泉税、社会保険料なども確認が必要です。
造作譲渡の取引費用、名義変更費用、清掃や残置物撤去費用などを見込みます。
店舗を居抜きで引き継いでもらえる場合、原状回復の範囲を貸主と調整できる可能性があります。ただし、居抜き売却が成立しただけで原状回復義務が当然に免除されるわけではありません。既存契約と貸主との合意内容を確認しましょう。
4.借金が残っていても居抜き売却はできる?
借入金が残っている飲食店でも、居抜き売却を検討できる場合があります。居抜き売却とは、厨房設備・内装・カウンター・空調などの造作や設備を、次の出店希望者に譲渡する方法です。
居抜き売却で期待できる3つのメリット
- 造作譲渡代金を得られる可能性:店舗の立地、状態、設備、需要などに応じて売却価格を検討できます。
- 解体・撤去費用の削減余地:貸主が現況での引継ぎを認めた場合、撤退時の工事負担を軽減できる可能性があります。
- 閉店までの費用を抑えられる可能性:次の借主との調整が進めば、退去スケジュールを検討しやすくなります。ただし、賃料の終了時期は契約・合意次第です。
「店舗の売却」と「借金の引継ぎ」は別の話
通常の造作譲渡では、買主が厨房や内装を購入することと、売主の銀行借入金を引き受けることは別です。造作を売ったからといって、買主へ借入金が自動的に移るわけではありません。事業全体の譲渡や債務引受を検討する場合は、別途契約や債権者の関与が必要になることがあります。
貸主の承諾と新テナントの審査が重要
居抜き売却は、物件の所有権を売る取引ではありません。借主の入替えには、貸主との調整や新たな賃貸借契約の審査が必要になるのが一般的です。賃借権の譲渡・転貸については民法612条で貸主承諾が原則とされています。
厨房機器が古くても、内装やダクトの状態、出店需要などによって価値が見込める場合があります。一方、買主がつかない・無償譲渡となるケースもあるため、査定金額を確定収入として資金計画に組み込まないことが大切です。
5.造作譲渡代金200万円でも、手元にはいくら残る?
居抜き売却を資金繰りに活用する際は、「売却価格」ではなく「諸費用精算後の手残り」で考えます。
- 造作譲渡代金(入金)
- +200万円
- 売却に伴う手数料・諸費用(仮)
- -20万円
- 未払賃料・貸主との精算(仮)
- -30万円
- リース等の精算(仮)
- -40万円
- 差引の資金見込
- 110万円
※説明用の架空例です。消費税・所得税等、他の閉店費用、預り保証金の返還時期、金融機関への返済条件などは反映していません。実際の手数料は契約条件で異なります。
この例で借入残高が300万円なら、110万円をすべて返済に充てたと仮定しても190万円が残ります。実際には、税金や生活費、その他債務を考慮し、資金の配分について必要に応じて金融機関や専門家と協議します。
また、保証金・敷金は、未払金や原状回復費用等の精算後に返還されることがあります。契約終了後すぐに全額入金される前提で計算しないようにしましょう。
造作譲渡代金には税金も関係する
事業用の設備・内装等の譲渡は、消費税の課税対象となる取引に該当することがあります。納税義務の有無や所得・損益の扱いは、個人・法人、課税事業者の区分、取引内容などで変わるため、税理士へ確認してください。
6.借金の返済が難しいとき、金融機関にはいつ相談する?
返済が厳しくなる見込みが分かった段階で、借入先へ早めに相談することが重要です。日本政策金融公庫も、返済条件の見直しを希望する場合は取引支店への相談を案内しています。
相談にあたっては、次の情報を用意すると状況を伝えやすくなります。
- 金融機関ごとの借入残高、毎月の返済額、返済予定表
- 直近の試算表・決算書・確定申告書、預金残高
- 閉店予定日、解約予告期間、退去までに必要な費用
- 居抜き売却の見込額と、査定段階なのか契約済みなのか
- 閉店後の収入見込み、生活費・返済に回せる資金
状況によっては返済条件の見直しを相談できる場合がありますが、認められるかどうかは金融機関の判断です。事前の合意なく返済額を減らすことはできません。
返済の見通しが立たない場合の相談先
借入先金融機関のほか、弁護士、税理士、中小企業活性化協議会などが考えられます。中小企業活性化協議会の再チャレンジ支援では、円滑な廃業や経営者保証の整理に関する相談を扱っています。
債務超過や支払不能が疑われる状態では、特定の債権者にだけ優先して返済したり、店舗資産を急いで売却したりすることが後の手続きに影響する可能性があります。売却前に法律専門家へ確認してください。
7.借金が残る飲食店の閉店・居抜き売却7ステップ
- 借入金と未払金を一覧にする借入契約書、リース契約書、支払予定表を確認し、残額と支払日を整理します。
- 賃貸借契約書を確認する解約予告、原状回復、保証金償却、造作譲渡の可否などを確認します。
- 店舗設備の所有者を調べる自己所有品、リース品、貸主所有品、担保・所有権留保の対象を区分します。
- 閉店費用と資金繰り表を作る今後の賃料、工事費、税金、給与、生活費、借入返済を時系列で整理します。
- 居抜き売却の可能性を査定する立地や設備の状況を確認し、買主需要と売却可能性を検討します。
- 貸主・借入先・必要な専門家と調整する貸主の意向、新テナント審査、返済方針、必要な許認可等を確認します。
- 契約・決済・引渡し・退去精算へ進む賃貸借契約成立などの条件を整え、支払時期・所有権移転・引渡しを明確にします。
特に、解約通知を出すタイミングと居抜き売却の募集期間は慎重に考えたいポイントです。解約予告後では、買主探しに使える時間が限られる場合があります。契約上の期限を確認し、閉店方針が固まる前から専門家に相談することも選択肢です。
8.借金がある飲食店の居抜き売却で注意したい5つのこと
① リース・レンタル品まで勝手に売らない
食洗機、製氷機、ビールサーバー、POSレジ等には、リース会社や第三者が所有するものがあります。売主に所有権がない設備は、原則として売主の判断だけで譲渡できません。契約と所有者の承諾を確認しましょう。
② 補助金で購入した設備を無断で処分しない
補助金を使った設備や内装には、財産処分の制限が付く場合があります。事前承認や納付が必要なこともあるため、利用制度の事務局に確認してください。
③ 貸主の承諾前に引渡しを確約しない
買主が見つかっても、新たな賃貸借契約が成立するとは限りません。造作譲渡契約は、貸主承諾や新賃貸借契約の成立などを踏まえて条件を明確にする必要があります。
④ 売却代金をすぐ全額使わない
閉店後も税金、退去精算、未払金の支払いが発生することがあります。資金繰りの見通しを立てずに全額を使うと、その後の支払いに困るおそれがあります。特に返済困難な場合は専門家に相談してください。
⑤ 「居抜きなら必ず高く売れる」と考えない
造作価格は投資した内装工事費と同額になるわけではありません。買主の出店ニーズ、立地、設備状態、賃貸条件、残された募集期間などにより異なります。価格を高く設定しすぎると、毎月の賃料負担が続くこともあります。
9.飲食店の閉店と借金に関するよくある質問
Q.日本政策金融公庫からの借入が残っていても閉店できますか?
A.閉店を検討することはできますが、借入金の返済義務は原則として残ります。返済継続が難しい場合は、取引支店へ早めに相談しましょう。
Q.赤字の飲食店でも居抜き売却できますか?
A.可能性はあります。造作譲渡では、現在の売上だけでなく、立地・設備・内装・賃貸条件なども判断材料になります。ただし売却成立は保証されません。
Q.居抜き売却代金を借金返済に使ってもよいですか?
A.売却代金の使途は、資産の所有関係、担保、融資契約、他の債務や債務整理の状況等に左右されます。返済が困難なときは金融機関・弁護士等と確認してから判断してください。
Q.法人を閉じれば代表者の借金もなくなりますか?
A.自動的にはなくなりません。会社の債務と代表者個人の債務は別ですが、代表者が連帯保証している場合には個人へ請求される可能性があります。
Q.居抜きで売れば原状回復費用はゼロですか?
A.必ずゼロになるわけではありません。賃貸借契約の内容と貸主との合意次第です。どの設備・内装を残してよいか書面で確認すると安心です。
Q.まだ従業員やお客様に閉店を知らせていません。相談できますか?
A.できます。店舗売却の初期相談では、営業への影響に配慮した進め方を検討できます。ただし、貸主や買主候補との調整・内覧等には必要な情報共有が生じる場合があります。
10.まとめ|借金が残るなら、閉店前に「店舗の価値」と「支出」を確認
借金を抱えたまま飲食店を閉店する場合は、残債だけでなく、退去までに必要なお金と、閉店後の返済計画をセットで考えることが大切です。
居抜き売却が可能であれば、造作譲渡代金の確保や原状回復費用の軽減につながる可能性があります。ただし、貸主承諾、リース・補助金、税金、金融機関との調整が必要です。
「閉店してから売却を考える」のではなく、「閉店する前に売れる可能性を確かめる」。その一歩が、撤退時の選択肢を増やします。
名古屋・愛知の飲食店の居抜き売却・店舗売却はご相談ください
「借金が残っている」「閉店費用をできるだけ抑えたい」「まだ営業中なので慎重に進めたい」。サンコー不動産では、店舗の設備や賃貸条件を確認し、居抜き売却の可能性をご案内します。
※借入金の返済条件・法的な債務整理・税務申告については、金融機関・弁護士・税理士等へのご相談が必要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。法的手続き、債務整理、税務処理の判断は個別の事情により異なります。