造作を高く売ろうとして逆に損するケースとは?居抜き売却で価格設定を間違えないための考え方
飲食店や美容室、居酒屋、バーなどを閉店・移転するとき、 現在の内装や厨房設備を次の借主へ譲る「造作譲渡」という方法があります。
せっかくお金をかけて作った店舗ですから、 「できるだけ高く売りたい」と考えるのは当然です。
しかし、店舗売却の現場では、 造作を高く売ろうとしすぎたことで、結果的に手元に残るお金が減ってしまう というケースがあります。
今回は、名古屋・愛知で店舗売却・居抜き売却を扱う立場から、 造作譲渡の価格設定で失敗しやすいケースと、 撤退時に本当に考えるべき損得について解説します。
1.造作譲渡価格は「かけた金額」ではなく「次の借主が払う金額」で決まる
店舗を作るときには、 内装工事、厨房設備、空調、ダクト、給排水、家具、什器など、 多額の費用がかかります。
そのため、
「まだ3年しか使っていない」
「最低でも500万円では売りたい」
と考える方も少なくありません。
ただし、造作譲渡価格は 過去にいくら投資したかだけで決まるものではありません。
次の借主から見れば、 その店舗を引き継ぐことで、 新しく一から店舗を作るよりどれくらい費用を抑えられるのか、 そしてその金額を払ってでもその物件を借りたいかどうかが重要です。
2.失敗例① 内装にかけた金額を基準にして価格を決める
最も多いのが、 開業時の投資金額を基準に造作価格を決めてしまうケースです。
例えば、 開業時に1,500万円かけた店舗だからといって、 数年後に500万円、800万円で売れるとは限りません。
店舗の価値は、
- 立地
- 賃料
- 店舗面積
- 設備の状態
- 設備の年式
- 営業可能な業種
- 周辺の出店需要
- 次の借主が追加工事をどれくらい必要とするか
などによって変わります。
特に居抜き店舗の場合、 造作だけでなく、 「その物件を借りる条件」そのものが価格に大きく影響します。
3.失敗例② 高値のまま募集を続けて時間を失う
居抜き売却で非常に重要なのが「時間」です。
仮に6か月後に退去予定であれば、 ある程度時間をかけて買主を探すことができます。
しかし、退去まであと1か月しかない状態で、 相場より高い価格のまま募集を続けていると、 問い合わせが入らないまま期限を迎える可能性があります。
居抜き売却では、 「いくらで売るか」と同じくらい、 「いつまでに売るか」 が重要です。
例えばこんなケースです
退去まで:2か月
原状回復費:200万円
300万円で募集
↓
問い合わせはあるが価格が合わない
↓
値下げせず1か月経過
↓
退去期限が迫る
↓
最終的に買主が決まらず原状回復
結果:造作売却0円+原状回復費200万円負担
一方で、 早い段階で200万円程度まで価格調整し成約できていれば、 造作代金を受け取れるだけでなく、 原状回復費を抑えられた可能性があります。
この差は非常に大きくなります。
4.失敗例③ 家賃と造作価格のバランスを見ていない
造作価格だけを見ていて、 物件の賃料を考慮していないケースもあります。
次の借主が支払うのは造作代金だけではありません。
一般的には、
- 保証金・敷金
- 礼金
- 保証会社費用
- 仲介手数料
- 前家賃
- 造作譲渡代金
- 追加工事費
- 開業準備費
などが必要です。
例えば月額賃料が高い店舗で、 さらに造作代金も高額となると、 次の借主の初期投資が大きくなります。
その結果、 店舗そのものには興味を持ってもらえても、 「初期費用が高すぎる」 という理由で申込みにつながらないことがあります。
5.失敗例④ 設備の年式や状態を考慮していない
店舗内に大型冷蔵庫、製氷機、食洗機、エアコンなどがあると、
「これだけ設備があるから高く売れる」
と思いがちです。
しかし、次の借主が見るのは、 設備の数だけではありません。
- 何年前の設備なのか
- 現在正常に動いているか
- メンテナンス履歴はあるか
- 今後どれくらい使用できそうか
- リース品ではないか
- 修理や交換にどれくらい費用がかかるか
なども判断材料になります。
中古設備は基本的に新品と同じ評価にはなりません。
高額な設備が設置されていても、 年式が古ければ、 次の借主からすると 「すぐ交換する可能性がある設備」 と判断されることもあります。
6.失敗例⑤ 「いくらで売れたか」だけを見て原状回復費を忘れる
居抜き売却では、 売却価格だけで損得を判断しないことが非常に重要です。
例えば、
原状回復費削減200万円
合計メリット500万円
B案:造作0円で譲渡
原状回復費削減200万円
合計メリット200万円
C案:造作300万円にこだわって売れない
造作売却0円
原状回復費200万円負担
合計マイナス200万円
という結果になることも考えられます。
売主からすると、 300万円で売れればもちろん理想です。
しかし、 高値にこだわった結果、最終的に売れず、さらに原状回復費まで負担する というのが一番避けたいケースです。
7.造作を「0円で譲る」という選択肢もある
「0円なら売却する意味がない」 と思われる方もいます。
しかし、店舗撤退では必ずしもそうではありません。
造作代金が0円でも、
- 原状回復費を抑えられる
- 厨房設備撤去費を抑えられる
- 廃棄処分費を抑えられる
- 退去までの工事手配を減らせる
のであれば、 結果として大きなメリットになることがあります。
8.では、適正な造作価格はどう決める?
造作価格を決める際には、 最低でも次の内容を確認します。
- 店舗の立地
- 周辺の出店需要
- 現在の賃料
- 保証金などの賃貸条件
- 店舗面積
- 設備内容
- 設備年式
- 内装状態
- 次の業態でそのまま使えるか
- 退去期限までの期間
さらに重要なのが、 実際の問い合わせ反応を見ること です。
募集を開始して、
内覧は入るのに申込みにならないのか。
そもそも問い合わせが来ないのか。
「価格が高い」と言われているのか。
それによって調整方法も変わります。
9.値下げは「売れなくなってから」では遅いこともある
造作価格を下げることに抵抗がある方は多いと思います。
ただし、居抜き売却では時間が経つほど有利になるわけではありません。
退去期限が近づけば近づくほど、 買主側も、
「売主は早く決めたいはず」
と考えるようになります。
結果として、 交渉力が弱くなる可能性があります。
そのため、
- 募集開始時
- 1か月後
- 退去2か月前
- 退去1か月前
など、 あらかじめ価格見直しのタイミングを決めておく方法もあります。
10.値下げではなく「条件調整」で決まることもある
必ずしも造作価格だけを下げればよいわけではありません。
買主候補が迷っている理由によっては、 別の条件を調整できる場合があります。
例えば、
- 譲渡対象設備を増やす
- 一部設備を売主側で撤去する
- 引渡し時期を調整する
- 在庫や什器を含める
- 一部の金額条件を交渉する
などです。
大切なのは、 「300万円でなければ絶対に売らない」 と価格だけで固定してしまうのではなく、 最終的な撤退コストを見ながら条件全体を調整すること です。
11.高く売ることより「損をしない店舗売却」を考える
店舗売却では、 高く売ることはもちろん大切です。
しかし、 それ以上に重要なのが、
売却するチャンスそのものを逃さないことです。
100万円高く売ろうとして数か月募集を続けた結果、 買主が決まらず、
- 追加の家賃
- 原状回復費
- 設備撤去費
- 廃棄費用
を負担することになれば、 結果として大きな損失になる可能性があります。
特に閉店が決まっている店舗では、
という視点で考えることが大切です。
12.閉店期限から逆算して造作価格を決める
造作譲渡の価格設定では、 最初に「いくらで売りたいか」を決めるだけではなく、
いつまでに売らなければならないのか を先に確認することをおすすめします。
例えば、 6か月の募集期間がある場合と、 残り1か月しかない場合では、 同じ店舗でも販売戦略は変わります。
時間に余裕があるうちは希望価格で反応を見ることができますが、 退去期限が近づいた場合には、 成約を優先した価格調整が必要になることもあります。
店舗の価値だけでなく、 「時間の価値」も含めて価格を考える ことが、居抜き売却では非常に重要です。
造作価格を決める前に、一度店舗を査定してみませんか?
株式会社サンコー不動産では、 名古屋市・愛知県を中心に、 店舗売却・居抜き売却・造作譲渡のご相談を承っています。
「この店舗はいくらくらいで売れそう?」
「希望価格300万円は高い?」
「原状回復費まで考えると、いくらで売ればいい?」
「まだ閉店するか決めていない」
という段階でもご相談いただけます。
店舗の立地・賃料・設備内容・退去期限などを確認し、 造作売却価格だけではなく、 撤退費用を含めたうえで条件を整理いたします。
店舗売却・造作譲渡を無料で相談するよくある質問
Q.造作譲渡価格に相場はありますか?
一律の相場で決まるものではありません。 立地、賃料、業態、設備内容、設備年式、店舗面積、 退去期限、周辺の出店需要などによって変わります。
Q.内装に1,000万円かけた場合、500万円くらいで売れますか?
開業時の工事費だけで造作価格は決まりません。 次の借主から見た利用価値や賃貸条件、 設備の状態などを含めて判断されます。
Q.最初は高めに募集しても大丈夫ですか?
時間に余裕があれば希望価格から反応を見る方法もあります。 ただし、退去期限が決まっている場合は、 問い合わせ状況を見ながら早めに価格調整を検討することが重要です。
Q.造作0円でも居抜きで譲るメリットはありますか?
あります。 原状回復費、設備撤去費、廃棄処分費などを削減できるのであれば、 造作代金が0円でも経済的なメリットが生まれる可能性があります。
Q.買主から値下げ交渉された場合は応じた方がいいですか?
必ず値下げに応じる必要はありません。 ただし、退去期限、原状回復費、残りの家賃負担なども含め、 値下げして成約した場合と、 募集を続けた場合の損得を比較して判断することをおすすめします。