飲食店を売却する際の選択肢として「居抜き」という方法があります。居抜き売却とは、内装や設備、什器備品などをそのまま引き継いで売却する方法です。近年、出店コストの削減や即営業開始を目指す買主のニーズに応えるため、注目を集めています。特に、コロナ禍以降の飲食業界では、物件の有効活用と迅速な事業転換の観点から、居抜き物件の需要が高まっています。
居抜き売却のメリットは、設備や内装をそのまま売却できるため、原状回復費用が不要な点です。
また、買主にとっても新規で設備投資をする必要がないため、初期費用を抑えることができます。
一方、デメリットとしては、既存の内装や設備が買主の希望する業態に合わない場合、売却先が限定される可能性があります。
また、設備の経年劣化や故障のリスクを考慮する必要があり、修繕費用の負担について事前の取り決めが重要です。
居抜き物件の査定では、立地条件や建物の状態に加え、設備や内装の価値を総合的に評価します。
特に重要なのは、厨房設備の状態、空調設備の性能、内装のグレードと経年数です。
また、賃貸借契約の条件や権利金の有無なども価格設定に大きく影響します。
適正価格を算出するためには、専門家による詳細な査定と、同エリアでの取引事例の分析が不可欠です。
居抜き売却を成功させるためには、事前の周到な準備と適切な価格設定が不可欠です。
店舗物件の査定価格を複数の不動産業者から取得し、市場相場を把握することから始めましょう。
設備や内装の状態を詳細に記録し、修繕履歴や保守点検記録などの資料を整理することで、買い手への説明がスムーズになります。
また、賃貸借契約の譲渡条件や建物の法的制限についても確認が必要です。
特に重要なのが、店舗設備のメンテナンス状態です。
厨房機器や空調設備、給排水設備などの動作確認と必要に応じた修理を行うことで、物件の価値を高められます。
飲食店の居抜き売却は、適切な準備と戦略的なアプローチで、より良い条件での売却が可能になります。
物件の魅力を最大限に引き出すためには、設備の状態管理と適切な価格設定が重要です。
また、不動産業者との密な連携により、効果的な販売戦略を立てることができます。
売却後のトラブルを防ぐためにも、契約内容の詳細な確認と、買い手への丁寧な説明を心がけましょう。
設備や内装の状態が良好であれば、買い手にとっても開業までの時間とコストを大幅に削減できる魅力的な物件となります。
売り手と買い手の双方にとって、Win-Winの取引を実現するために、慎重な準備と進め方が成功への鍵となります。