「居抜き売却で何を残して何を撤去する?」設備・備品・残置物の整理方法

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2026年11月07日

「居抜き売却で何を残して何を撤去する?」設備・備品・残置物の整理方法

名古屋の店舗売却・造作譲渡ガイド
居抜き売却で何を残して何を撤去する?設備・備品・残置物の整理方法

厨房機器や家具を残せば売れるとは限りません。譲渡対象・私物・処分品・貸主所有設備を区別し、買主にも貸主にも分かりやすい引渡しを目指しましょう。

飲食店の閉店を考え、居抜き売却の準備を始めると「冷蔵庫は残す?」「テーブルは持って帰る?」「エアコンは自分のもの?」「使わない食器も置いてよい?」と迷うことがあります。

結論から言えば、店舗にあるものをすべて売れるわけではなく、買主が欲しいものを何でも置いてよいわけでもありません。まず所有者を確認し、次に引渡し時の扱いを決め、契約書と設備一覧に明記することが大切です。

1.居抜き売却の設備は「4つの区分」に整理する

整理の基本は、①譲渡するもの ②持ち帰るもの ③撤去・処分するもの ④自分の判断だけでは動かせないものに分けることです。

区分 具体例 対応方法
①譲渡対象 自己所有の冷蔵庫、製氷機、調理台、カウンター、テーブルなど 買主の希望・状態・貸主の条件を確認し、造作譲渡対象一覧に記載
②私物・持ち帰り品 個人の包丁、愛用品、私用パソコン、記念品、個人書類など 譲渡対象外と明記し、引渡し前に搬出
③撤去・処分品 壊れた家電、不要な食材、廃油、使わない棚、廃棄予定の什器など 買主・貸主と協議して処分者、期限、費用を決定
④所有者・契約確認品 貸主設置の空調、リース製氷機、酒販店貸与のビールサーバーなど 所有者・契約先に確認。無断譲渡・撤去はしない
大切な考え方:「誰のものか(所有権)」と「残してよいか(貸主との賃貸借条件)」と「買主が引き継ぐか」は別の問題です。売主所有の設備でも、貸主が撤去を求める場合や、買主が不要とする場合があります。

2.厨房・内装・什器は何を残す?設備別の具体例

厨房機器:買主が使えるものは譲渡候補

業態が近い買主にとって、厨房機器が使えることは初期投資を抑える材料になります。ただし、故障や寸法の不一致があれば、撤去費用がかかる負担にもなります。

設備 主な整理方針 確認ポイント
冷蔵庫・冷凍庫・製氷機 自己所有で使用可能なら譲渡候補 型番、年式、冷却状況、リースの有無
ガスコンロ・フライヤー・オーブン 買主の業態に合えば譲渡候補 故障、ガス種、接続条件、安全点検
食洗機・シンク・作業台 譲渡候補。ただし接続設備を確認 漏水、排水、搬出可否、所有者
食器・鍋・包丁・調理小物 譲渡・持ち帰りを個別に決定 点数、破損、私物の混在
食材・調味料・酒類・廃油 原則として別途整理・撤去 賞味期限、在庫売買の有無、廃棄方法

たとえば「冷蔵庫2台は譲渡、故障した製氷機1台は売主負担で撤去」「包丁のうち個人所有分は除外」といった具体的な記載が役立ちます。食品や酒類の在庫は、造作譲渡の金額に当然含まれるものではありません。

内装・固定設備:取り外す前に貸主の確認を

カウンター、間仕切り、造作棚、照明、フード・ダクト、グリストラップ、空調、給排水設備などは、店舗の価値を左右します。一方で建物と一体になっており、売主所有か貸主所有か、撤去してよいかを判断しにくい設備でもあります。

  • カウンター・造作棚:売主が設置したものでも、残置の承諾と次テナントの引継ぎ条件を確認。
  • エアコン・換気扇:前テナントの残置物、貸主設備、売主設置品など由来が異なるため確認。
  • ダクト・排気フード・配管:撤去や改修が建物に影響するため、管理会社・貸主との調整が必要。
  • 消防・防災設備:無断で取り外さず、管理区分や関係法令を確認。
  • 看板:本体の所有者に加え、看板使用契約、掲出許可、撤去範囲も確認。

客席・備品:残せるものと売りたいものは違う

テーブル、椅子、ソファ、棚、レジ台、メニュー立てなどは比較的整理しやすい一方、業態変更で不要になる場合があります。装飾品や高価な家具は、売主が持ち帰るなら募集段階から明示しましょう。

POSレジ・タブレット・券売機は本体の所有だけでなく、利用契約、決済端末の貸与、アカウント、売上データや顧客情報の消去も確認します。機器を残すことと、ソフトウェア契約や顧客情報を引き継ぐことは別です。

3.リース品・貸主所有設備・前テナントの残置物に注意

リース・レンタル・貸与品は勝手に売却しない

製氷機、食洗機、コーヒーマシン、ビールサーバー、POSレジ、防犯カメラなどは、リース会社や取引先の所有物であることがあります。割賦購入でも所有権が留保されている場合があります。

  1. 契約書、請求書、機器の管理シールから契約先を確認する。
  2. 残債、解約条件、返却義務、買取りの可否を問い合わせる。
  3. 買主への引継ぎを希望する場合は、契約先の承諾と手続きを確認する。
  4. 手続きが未了のものは、造作譲渡対象から除外または条件付きとして明示する。

「店に置いてある」「毎月料金を払っている」というだけでは、売主が自由に譲渡できるとは限りません。

貸主所有設備と「前からあった設備」は区別する

建物に最初から付いていた空調やトイレ、前テナントが残した設備などは、現借主の所有物とは限りません。入居時の賃貸借契約書、設備表、引渡し時の写真、前回の造作譲渡契約書などで履歴をたどります。

特に前テナントの残置物=現在の借主の所有物とは自動的に決まりません。所有権の移転や設備管理の取り決めが不明なら、貸主・管理会社に確認してから判断します。

補助金で購入した設備は別途確認する

補助金を活用して導入した厨房機器や内装は、補助金の種類・処分制限期間などによって、売却や譲渡の前に財産処分の承認等が必要な場合があります。

譲渡契約を進める前に、交付要綱と補助金の担当窓口を確認しましょう。承認前の譲渡を避け、必要な手続きと引渡し条件を整理します。

4.売却準備はこの6ステップで進める

STEP 1店内の全設備を写真に撮る

厨房、客席、バックヤード、倉庫、天井、看板まで記録。全景と型番・シリアル番号の写真を残します。

STEP 2所有者を調べる

自己所有・貸主所有・リース・貸与・不明に分けます。購入伝票、契約書、固定資産台帳も参考になります。

STEP 3残す・持ち帰る・処分するを仮決めする

買主の業態や募集時のアピールポイントを意識して仮の区分を作り、確認が必要な設備は保留にします。

STEP 4貸主・管理会社の条件を確認する

居抜きでの明渡しが可能か、残せる範囲、看板や配管の扱い、原状回復義務を確認します。

STEP 5買主と譲渡範囲・不具合・費用をすり合わせる

譲渡対象外、撤去品、故障箇所を明示。買主が不要とする設備は、撤去担当・期限・費用負担まで決めます。

STEP 6契約書・引渡確認書と現地を照合する

別紙一覧、写真、鍵や付属品の有無を確認し、引渡し直前に食い違いがないかチェックします。

造作譲渡対象一覧には何を書けばよい?

最初から完璧な書類を作る必要はありません。以下の形式で品名と扱いを記録し、内覧や交渉に合わせて更新すると整理しやすくなります。

品名 所有者 引渡区分 状態・備考
業務用冷蔵庫 2台 売主 譲渡 動作確認予定、型番記載
製氷機 1台 リース会社 要確認 契約先へ返却・買取可否を照会
店内エアコン 2基 不明 要確認 入居時設備表と貸主確認
テーブル 6台 売主 譲渡 数量・傷の状態を撮影
個人所有の包丁 売主個人 持ち帰り 引渡し前に搬出
故障した電子レンジ 売主 撤去 売主負担、引渡し前に処分

※上表は説明用の架空例です。実際にはメーカー・型番・製造年・数量・動作状況・故障内容・撤去期限などを追記してください。

引渡しまでのチェックリスト
  • 賃貸借契約書と入居時設備表を確認した
  • 譲渡品・持ち帰り品・処分品・要確認品を区分した
  • リース・レンタル・貸与品の契約先を確認した
  • 故障・不具合・修理履歴を買主に伝えた
  • 貸主と居抜き引渡し・原状回復の範囲を確認した
  • 撤去品の費用負担・担当者・期限を決めた
  • 別紙設備一覧と引渡し時の現物を照合した

5.造作譲渡契約書と引渡しで揉めないための注意点

「店舗内の設備一式」だけで済ませない

「店舗内にある設備・備品一式」という表現だけでは、厨房の小物、私物、貸与品、故障品まで含まれるか不明です。

譲渡対象一覧と譲渡対象外一覧を別紙にし、写真や数量で特定できるようにすることをおすすめします。

契約書に盛り込む事項の例
  • 譲渡対象は別紙「造作・設備一覧」記載の売主所有物とすること
  • 譲渡対象外の私物・リース品・貸与品を特定すること
  • 撤去対象、実施者、期限、費用負担を明記すること
  • 既知の故障・不具合、引渡し時の動作確認方法を定めること
  • 貸主の承諾、新たな賃貸借契約の成立など必要な条件を整理すること

※上記は条項を検討するための例示であり、そのままで全案件に適用できる契約条文ではありません。

「現況渡し」でも説明を省かない

中古設備を現況で引き渡す合意があっても、認識している故障や欠品は事前に伝え、対象設備と状態を双方で確認することが重要です。

「動くと思っていた」「使えると説明された」といったトラブルの予防につながります。

買主が見つかっても、貸主の承諾は別

売主と買主が設備譲渡に合意しても、店舗の賃貸借契約まで自動で移るわけではありません。

新たな賃貸借契約、貸主審査、居抜き引渡しの承諾、原状回復義務の整理などを別途進めます。

「造作が売れた=原状回復義務がすべて消える」ではない点に注意が必要です。

引渡し直前の撤去と処分費用に注意

買主が不要と言った設備を直前に撤去すると、配管の補修や床・壁の修復が必要になることがあります。

また、事業で発生したごみ、廃油、業務用機器などは、品目・排出事業者・地域のルールに応じた適正な処理が必要です。家庭ごみと同じ感覚でまとめて捨てないようにしましょう。

例:買主が「食洗機は不要」と希望した場合、食洗機の撤去だけでなく、接続部の処理、周囲の補修、引渡しまでの作業日程を確認します。誰が費用を払うかも事前に合意しておくと安心です。

6.譲渡金額だけでなく「残す・撤去するコスト」を比較する

居抜き売却では、設備を高く売ることだけが正解ではありません。

不要品を残せば買主の処分費が増え、買主が敬遠する場合があります。一方、使える厨房機器や内装を残せば、買主の開業工事を減らせる可能性があります。

たとえば、造作譲渡金50万円で売却できても、売主側に撤去・処分費30万円が必要なら、単純な差額は20万円です。

逆に、無償譲渡であっても、貸主が承諾する範囲で撤去費用や追加賃料を抑えられるなら、撤退費用全体では有利になることがあります。

※金額は仕組みを説明するための仮定です。原状回復、賃料、保証金精算、仲介・譲渡手数料等は別途確認が必要です。

7.よくある質問

Q.食器や調理器具もすべて残さないといけませんか?

A.いいえ。買主が希望し、売主が譲渡できるものを個別に決めます。私物や持ち帰りたい高価な器具は、対象外として事前に明示してください。

Q.故障した製氷機をそのまま残してよいですか?

A.買主が状態を理解し、貸主の条件にも反しないなら、残す合意ができる場合があります。ただし、故障内容と処分・修理費の扱いを必ず確認しましょう。

Q.エアコンや換気設備は売却できますか?

A.売主の所有物か、貸主・前テナント等の所有物かを先に確認します。売主の所有でも、建物に固定されている設備は貸主との調整が必要です。

Q.買主が不要とする備品は誰が処分しますか?

A.自動的に買主負担となるわけではありません。売主・買主・貸主の合意内容によります。撤去担当者と費用負担を契約前に決めてください。

Q.居抜き売却ならスケルトン工事は不要ですか?

A.必ずしも不要にはなりません。現契約の原状回復条項と貸主の承諾内容によります。売却の可否と一緒に、明渡し条件を確認する必要があります。

まとめ|「何を残すか」は募集前に決めておく

居抜き売却では、設備の価値、所有権、貸主の承諾、買主の希望、撤去費用を一緒に考えることが大切です。

すべてを残せば高く売れるわけではありませんし、先に処分してしまうと、使える設備の価値を失うこともあります。

閉店が決まった段階で店内を撮影し、4つの区分を整理しておけば、査定や内覧、契約、引渡しまでスムーズに進めやすくなります。

迷う設備は、処分する前に店舗売却の専門家へ相談しましょう。

設備を処分する前に、無料査定で確認しませんか?

株式会社サンコー不動産では、名古屋市を中心に、飲食店の居抜き売却・造作譲渡をご相談いただけます。

残した方がよい設備、撤去すべきもの、貸主への確認事項を整理し、売却の進め方をご提案します。

相談・査定の段階でもお気軽にお問い合わせください。

※本記事は一般的な実務上の整理方法を紹介するものです。所有権・原状回復義務・リース契約・補助金の取扱いは個別の契約・制度により異なります。最終判断は契約書や関係先への確認に基づいて行ってください。

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