居抜き売却で次のテナントの家賃が値上げされたら?買主が離れる理由と対策

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2026年11月04日

居抜き売却で次のテナントの家賃が値上げされたら?買主が離れる理由と対策

名古屋の店舗売却・居抜き売却・造作譲渡

居抜き売却で次のテナントの家賃が値上げされたら?買主が離れる理由と対策

買主が見つかったのに、貸主から「次の契約は家賃を上げたい」と言われたら?売却への影響と対策を解説します。

飲食店の居抜き売却では、造作譲渡金の金額に合意できても、次のテナントの賃貸条件がまとまらず取引が進まない場合があります。特に注意したいのが、新しい借主に提示される家賃の値上げです。

例えば、現在の家賃18万円を前提に買主が出店計画を立てていたところ、貸主から「新規契約では23万円」と提示されたらどうでしょうか。月5万円の増額でも、長期的な経営への影響は小さくありません。

この記事では、名古屋市を中心に店舗売却を扱う株式会社サンコー不動産が、家賃値上げで買主が辞退する理由、造作価格への影響、貸主との交渉方法、契約時の注意点を解説します。

先に結論
  • 現在の家賃が次のテナントにも適用されるとは限らない
  • 賃料値上げは買主の収支と資金調達に影響する
  • 造作価格の値下げだけで解決できるとは限らない
  • 募集前に貸主へ新規賃貸条件を確認することが重要

1.居抜き売却で次のテナントの家賃が上がることはある?

結論からいうと、次のテナントの家賃が現在より高くなることはあります。

一般的な居抜き売却では、現在の借主が賃貸借契約を終了し、次の借主が貸主と新しい賃貸借契約を結びます。内装や厨房設備を引き継いでも、建物の賃貸借契約まで当然に引き継ぐわけではありません。

したがって、新規契約時には家賃だけでなく、共益費、保証金、礼金、契約期間などが見直される場合があります。

項目現契約新契約の例
月額家賃18万円23万円
共益費1万円2万円
保証金家賃3か月分家賃6か月分
契約形態普通借家契約定期借家契約

※表中の数値・条件は説明用の仮定例です。

法律上のポイント

既存の賃貸借契約における賃料増額の問題と、次の借主と新規契約を締結する際の賃料設定は区別が必要です。既存契約の増額には借地借家法第32条などが関係しますが、新規契約の条件は基本的に貸主と新借主の合意によって決まります。

2.貸主が次のテナントの家賃を上げる理由

① 周辺の家賃相場が変化している

長年入居しているテナントの家賃が、現在の募集相場と異なっていることがあります。貸主がテナント入替えの際に賃料を見直すケースです。

② 現テナントだけに特別条件が適用されていた

開業当初の交渉や長年の取引関係から、現テナントが低めの家賃で借りている場合があります。その条件が次の借主に引き継がれるとは限りません。

③ 維持管理費や建物の事情が変わった

修繕費、管理費、建物の維持に必要な費用の変化を踏まえ、賃料を見直したいと考える貸主もいます。

④ 新しい業態や使用方法を考慮している

焼肉、ラーメン、深夜営業など、業態によって設備への負担や近隣への配慮が必要となる場合があります。貸主が契約条件を改めて協議することもあります。

3.家賃が月5万円上がると買主の負担はどうなる?

買主が重視するのは、造作購入時の支出だけではありません。家賃は営業を続ける限り毎月発生する固定費です。

期間家賃が月5万円増えた場合
1年間60万円増
3年間180万円増
5年間300万円増

仮に造作譲渡金が200万円でも、家賃が月5万円上がれば、5年間の差額は300万円です。そのため、造作価格を50万円下げても、買主が出店を見送ることがあります。

※計算は賃料差額が継続すると仮定した単純比較です。実際の契約期間や収支によって結果は異なります。

4.家賃値上げで買主が離れる5つの理由

① 事業計画の収支が合わなくなる

飲食店は家賃のほか、人件費、食材原価、水道光熱費などの支出があります。固定費が増えると必要売上も上がり、開業後の利益が見込めなくなる場合があります。

② 保証金などの初期費用も増える

保証金が「家賃6か月分」なら、家賃18万円では108万円、23万円では138万円です。保証金だけで30万円の差があります。前家賃や保証会社の費用などが増えることもあります。

③ 融資や資金計画を見直す必要がある

金融機関に提出した計画と実際の賃貸条件が異なれば、資金計画の再検討が必要になる場合があります。融資手続きが遅れたり、資金不足になったりすることも考えられます。

④ 募集時と条件が違い、不安を感じる

「家賃18万円」と説明を受けて検討していた買主に、後から23万円と伝えると信頼関係に影響しかねません。現行条件と新規契約予定条件は必ず分けて説明しましょう。

⑤ ほかの物件と比較される

居抜き物件は設備を活用できる点が魅力ですが、毎月の家賃が高いと、多少工事費がかかっても賃料の安い物件を選ぶ買主がいます。

5.家賃値上げは造作譲渡価格にも影響する?

買主が見ているのは「造作譲渡金だけ」ではなく、出店に必要な初期費用と開業後の固定費の合計です。家賃が高くなれば、造作価格の値下げを求められる可能性があります。

ただし、家賃の問題を造作価格の値下げだけで解決できるとは限りません。買主が毎月いくらまで負担できるのか、初期費用が問題なのかを確認してから判断することが重要です。

例:造作価格200万円から150万円への値下げ

売主の譲渡収入は50万円減ります。一方、家賃が月5万円増えるなら、その差額は10か月で50万円になります。長期の事業収支が理由で辞退する買主には、一時的な値下げだけでは十分な対策にならない場合があります。

6.売却募集前に貸主へ確認すべき6項目

  1. 新テナントの家賃:現行賃料を引き継げるのか、新しい募集賃料になるのか。
  2. 共益費・管理費:毎月の総負担額に変更がないか。
  3. 保証金・礼金:初期費用と償却条件がどうなるか。
  4. 契約形態・期間:普通借家か定期借家か、更新・再契約の条件はどうか。
  5. 居抜き譲渡の承諾:内装や厨房設備を残した引渡しが認められるか。
  6. 業態制限:重飲食、深夜営業など、希望する使い方に制限がないか。

貸主・管理会社から条件の方向性を事前に確認できれば、買主への説明も正確になります。ただし、最終的な契約条件が確定したかどうかは別途確認が必要です。

7.家賃値上げを提示されたときの対策

対策① 買主の事業計画や業態を貸主へ説明する

買主の経験、事業内容、出店予定時期などを整理して伝えます。貸主が新しいテナントを受け入れるうえで、不安を減らせることがあります。

対策② 早期入居や空室期間短縮の利点を伝える

居抜きで引き継ぐことで、工事期間や空室期間が短くなる可能性があります。貸主にもメリットがあることを説明し、条件調整を相談します。

対策③ 家賃以外の費用も含めて交渉する

家賃の引下げが難しくても、フリーレント、工事期間中の賃料、保証金、礼金、賃料発生日などを相談できる場合があります。ただし、いずれも貸主の承諾が前提です。

対策④ 周辺物件の条件を比較する

近隣店舗の募集賃料を参考にする方法もあります。ただし、階数、面積、視認性、設備、契約条件が違えば単純比較はできません。

対策⑤ 買主が譲れない条件を確認する

月額賃料が問題なのか、初期費用の総額が問題なのかによって交渉の方向性は変わります。先に買主の許容条件を整理することが大切です。

8.すでに買主が見つかっている場合はどうする?

  1. 貸主へ確認:値上げ額が確定条件か、協議可能な条件かを確認する。
  2. 買主へ説明:新賃料と初期費用を正確に伝え、出店判断への影響を聞く。
  3. 条件調整:貸主と家賃・契約始期・その他費用について協議する。
  4. 造作価格を再検討:必要な場合に限り、売主の手取りや撤退費用と比較する。
  5. 再募集を判断:調整が難しければ、退去期限を踏まえて別の買主を探す。

ここで重要なのは、貸主が承諾していない条件を買主に約束しないことです。また、造作譲渡契約を締結済みなら、その契約の取扱いを確認してから再募集を進めましょう。

9.造作譲渡契約後に家賃が上がったらキャンセルできる?

家賃が値上げされたという理由だけで、造作譲渡契約が必ず自動解除されるわけではありません。契約書の定めや経緯によって結論が異なります。

造作譲渡契約で「買主と貸主との建物賃貸借契約成立」を停止条件としている場合は、その条件が成就しないときの効力や代金の扱いを契約条項に沿って判断します。

一方、停止条件や解除条項がない場合は、買主が一方的に辞退できるとは限らず、手付金・違約金などが問題になる可能性があります。

契約前に明確にしておきたい事項
  • 建物賃貸借契約の成立を条件とするか
  • 買主が想定する賃料の上限をどう扱うか
  • 条件変更時の協議や契約終了のルール
  • 契約不成立時の手付金・譲渡代金の返金方法

売主と買主が賃料上限を取り決めても、貸主がその賃料で契約する義務を負うわけではありません。条項は個別の取引事情に応じて検討してください。

10.売却できなかったときに売主が負担するもの

家賃値上げで買主が辞退し、再募集になれば、売主にも負担が発生します。

  • 募集期間中の家賃:賃貸借契約が続く限り、契約に従った賃料等が発生します。
  • 退去日程の再調整:解約通知を出している場合、予定どおり明渡しが必要になることがあります。
  • 原状回復費:居抜き譲渡が成立しなければ、契約上の原状回復義務が残る可能性があります。

例えば、造作譲渡金150万円で売却できる場合と、売却できず原状回復費150万円が発生する場合では、収支に大きな差が生じます。ただし、実際の比較には手数料・残存賃料・税金なども考慮する必要があります。

11.造作価格を下げるべきか判断するポイント

値下げの判断は、単に「当初希望より安いか」ではなく、売却成立の見込みと撤退費用の総額で考えます。

状況優先したい対応
家賃増額が主な問題貸主との賃貸条件の協議
初期費用が主な問題保証金・礼金などの調整検討
退去期限まで余裕がある新条件での再募集も比較
退去期限が近い造作譲渡金と原状回復費を比較

造作譲渡金を高く設定することだけを目標にせず、最終的な手取り額とリスクを見て判断しましょう。

12.名古屋の店舗売却で押さえたいこと

名古屋市内でも、栄・錦・伏見などの繁華街、金山・今池・大曽根などの駅周辺、住宅地に近い店舗では、出店希望者の業態や予算が異なります。

同じ地域でも、1階路面店か上層階か、面積、設備、視認性、契約形態によって賃料の評価は変わります。そのため、造作や厨房設備の価値だけでなく、次のテナントの賃貸条件を踏まえた査定が大切です。

売却活動の前に、貸主の意向、退去予定日、原状回復範囲を整理しておくと、買主との条件調整を進めやすくなります。

13.よくある質問

Q.今の家賃と同じ条件で次のテナントに貸してもらえますか?

可能な場合もありますが、当然に引き継がれるわけではありません。貸主・管理会社への事前確認が必要です。

Q.貸主が次のテナントの家賃を上げるのは違法ですか?

新規契約で従前より高い家賃を提示すること自体が直ちに違法とは限りません。既存契約の賃料増額とは区別して考えます。

Q.買主が辞退したら売主が責任を負いますか?

一律には決まりません。条件の説明内容、造作譲渡契約の停止条件・解除条項などによって変わります。

Q.値上げ分を売主が負担する必要はありますか?

新しい賃貸借契約の家賃差額を以前の借主が当然に負担するわけではありません。ただし、別途補填等の合意があれば内容の確認が必要です。

Q.解約通知前に相談するべきですか?

はい。退去期限が決まる前に賃貸条件と居抜き承諾の見通しを確認することで、売却活動の選択肢を確保しやすくなります。

14.まとめ|次のテナントの家賃確認が居抜き売却の重要ポイント

居抜き売却は、造作譲渡価格だけで成立する取引ではありません。買主にとっては、新しい賃貸借契約の条件が出店判断の大きな要素です。

家賃値上げによる辞退を防ぐためには、売却募集前に新規賃料を確認し、買主へ正確に説明することが重要です。条件変更があった場合も、造作価格をすぐに下げるのではなく、貸主との調整や買主の予算確認から始めましょう。

名古屋の居抜き売却・店舗売却のご相談

「次のテナントの家賃が上がると言われた」「買主が見つかったのに条件が合わない」「閉店費用をできるだけ抑えたい」など、店舗売却のお悩みをご相談ください。

株式会社サンコー不動産では、名古屋市を中心に、貸主との条件調整を含めた居抜き売却・造作譲渡をご案内しています。

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※本記事は一般的な情報を解説したもので、個別の契約に関する法的判断を示すものではありません。賃料の取扱い、造作譲渡契約の効力や解除・返金は、契約書や事情により異なります。必要に応じて弁護士等の専門家へご相談ください。

株式会社サンコー不動産/店舗売却・居抜き売却・造作譲渡 担当:小島

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