飲食店の店舗を売却する際、「居抜き物件」として売却するケースが増えています。居抜き物件とは、内装や設備をそのまま引き継げる物件のことを指します。コロナ禍以降、飲食店の経営環境が大きく変化する中、店舗売却を検討する経営者も少なくありません。一方で、新規出店を考える経営者にとって、居抜き物件は初期投資を抑えられる魅力的な選択肢となっています。今回は、居抜き物件での店舗売却について、メリットや具体的な進め方をご説明します。
居抜き物件での売却には、売り手・買い手双方にとって大きなメリットがあります。
売り手側は、原状回復費用が不要となり、解体工事や設備撤去にかかるコストを削減できます。
また、設備や内装込みでの売却となるため、物件の価値を高く設定できる可能性があります。
買い手側にとっては、新規の内装工事や設備投資が不要となり、開業までの時間とコストを大幅に削減できるメリットがあります。さらに、既存店舗の実績データを参考にできるため、事業計画も立てやすくなります。
築10年の寿司店(30席)を居抜き物件として売却したケース。
カウンター設備や冷蔵庫などの設備込みで550万円での売却が実現。
原状回復費用約500万円も不要となった。
店舗売却を成功させるためには、まず物件の適正価格を把握することが重要です。
そのために、不動産業者や専門家に相談し、立地や設備の状態、周辺相場などを考慮した査定を受けましょう。
また、売却前に必要な書類(賃貸借契約書、設備リスト、売上資料など)を整理しておくことで、スムーズな取引が可能となります。
特に居抜き物件の場合、設備の状態や保証期間、メンテナンス履歴なども重要な情報となります。
居抜き物件の売却を成功に導くためには、複数の重要な要素に注目する必要があります。
まず、物件の適正価格設定が不可欠です。
立地条件や建物の状態、設備の価値を総合的に評価し、市場動向も考慮した価格設定を行いましょう。
次に、物件の魅力を最大限に引き出すための清掃やメンテナンスを実施します。
特に厨房機器や空調設備などの専門的な設備は、プロによる点検・整備を行うことで物件の価値を高められます。
さらに、ターゲットを明確にした効果的な販売戦略も重要です。
不動産業者との連携を強化し、物件情報をオンラインポータルサイトや専門誌で効果的に発信することで、より多くの潜在的購入者にアプローチできます。
居抜き物件の売却は、適切な準備と戦略的なアプローチが成功への鍵となります。
物件の価値を正確に評価し、市場ニーズを見極めた価格設定を行うことが重要です。
また、物件の状態を最適化し、魅力的な販売提案を行うことで、スムーズな売却が実現できます。
特に重要なのは、不動産業者との良好な関係構築です。
専門家のネットワークを活用することで、より多くの購入検討者に物件情報を届けることができます。
さらに、法的手続きや必要書類の準備も確実に進めることで、売却後のトラブルを防ぐことができます。
居抜き物件は、新規出店を考える事業者にとって大きなメリットとなる選択肢であり、その特性を理解した上で適切な売却戦略を立てることが、成功への近道となるでしょう。